2019年を通して、大局的に日本人にとって最も大きな要素は 米中貿易戦争 Brexit ソフトバンク・ビジョン・ファンド の3つだったと思っています。簡単にまとめると、日本経済の内需はすでに行き詰まっており、輸出は中国とアメリカに頼り切りです。その両者がお互いの貿易量を減らしているわけですから、日本の輸出に直接影響を及ぼすのは当然です。日本が輸出で得られる利益は単純に中国とアメリカの消費の総和に相関していますから、どちらが勝っても負けても争うことで総和が減れば日本は損しかしません。Brexitはこのようには日本には直接影響を及ぼしませんが、ポンド安や世界経済の不安定化で間接的に日本に影響を及ぼします。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは最終的に破綻すると読んでいます。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの有利子負債は現在15兆円と発表されていますが、これは日本の一年の税収の約1/4に相当します。破綻時には確実に銀行連合を通して日本の血税が使われると踏んでいます。 まず、米中貿易戦争で最も大きく伸びたのはゴールドの価格でした。上のチャートを見てもらえば一目瞭然ですが、2011〜2013年の時期に次いで高値を記録しています。(https://www.bullionvault.com/gold-price-chart.do#) 2019年始めの価格がオンスあたり約1290米ドルで、1517米ドルで年を終えたわけですからだいたい17%の上昇でした。2018年の8〜9月頃に買った人はかなり利益を出したのではないでしょうか。 ゴールドは安全資産と言われ、買ってもほとんど儲かりませんが有事などの際は価格が下がらずむしろ上がります。1年を通してこれだけ上がった背景には、米中貿易戦争というリスクがあります。 日本のメジャーな報道ではほとんど語られませんが、去年からブルームバーグなどでは1日に10回以上「地政学的リスク」という単語が語られるようになりました。もはやただの貿易紛争ではないということです。 安全資産には他に米ドルと日本円があります。多少のリスクの場合は、これらの通貨にまず投資が避難する傾向があります。 長年、米ドルとゴールドの価格は逆相関することが知られてきました。2019年という年はゴールドが勝った年と言えるでしょう。米ドルが買われなかった主な理由としては、上の米中貿易戦争があります。米中貿易戦争に関する悪いニュースは全てゴールドの価格を押し上げる傾向があります。 ただ、興味深いことに12/15に第一段階の米中貿易合意がなされたにも関わらず、ゴールドの値段は下がりませんでした。それどころが年末はクリスマス前のオンスあたり1485米ドルから1517米ドルまで猛烈に上がりました。これはもはや市場がただの貿易戦争ではなく、「地政学的リスク」として認識しているからにほかなりません。 ただし、これは日本以外での話です。
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