イタリアは非常事態宣言。
ローマで新型コロナウイルスの感染者2名を確認したイタリア政府は今日非常事態宣言を発令し、6ヶ月間中国との間を行き来するフライトを停止するとともに、同様に香港、マカオ、台湾とを結ぶ航空路線も閉鎖しました。 カタール航空はクウェート政府からの要請を受けて、クウェートに向かう中国と香港のパスポート保持者を拒否する発表をしました。 週明けは世界の金融市場が混乱か。 また、HSBCは週明けの2/3から24支店を閉鎖。期限は明示しておらず、事実上の無期限停止と見られています。香港金融管理局は約30%の銀行支店が同様に閉鎖することになると発表しており、中国の株式市場が再開する月曜日は世界の金融市場がどういう値動きをするか予測がつかない事態になっています。 最終的には武漢だけで190,000人が感染とも。 1/31の時点で、中国国内で感染が確認されている数は9811例にのぼり、擬似感染数も入れると25000例を超える数になっています。これはすでに2003年のSARSの感染数を超えています。 潜伏期間が最長で2週間と長い上に、潜伏期間中も感染を広げるためにSARSよりも感染力が強く、以前の記事にも書いたとおり一定の割合で無症状感染者も存在すると見られていて、彼らは吐息に含まれる水蒸気とともにウイルスを拡散しているとする専門家もいます。 今日付けのブルームバーグの記事では、わずか10日間で感染者数が3000%上昇したことを挙げ、実際の感染者数はこれよりもさらに多いのではないかと推測しています。インペリアル・カレッジ・ロンドンの公衆衛生専門家であるニール・ファーガソン氏はガーディアン誌に、1/26時点の”最善シナリオ”では世界的な感染者は100,000人になるだろうと語っています。一方で世界的な科学誌であるネイチャーは1/31の記事で、武漢だけで感染者数は190,000人にのぼるという予測を紹介しています。 中国政府は爆発的な感染数の増加に対し、「そもそも検査しない」作戦で対処か。 湖北省の健康管理局長は1/29のブリーフィングで、感染を確認するのに必要な検査キットは同省に50,000点しか在庫がなかったと言っています。しかしこの時点で約6000例の感染を確認するのに使用し、また約32,000例の要観察ケースにも使用されているため、単純計算すると1/30の時点で既に残りは約12000キットしかなかったことになります。同省の説明では医療機関で一日に6000回テストすることが出来るとされているため、最大限検査をしていたとしたら1/31までに検査キットはおそらく底を尽きているということになります。 武漢の大学病院で新型コロナウイルス治療の最前線に立っているジョナサン・ユー医師はコロナウイルスの検査は簡単ではないと述べています。一度目の検査で陰性が出て、二度目の検査でも陰性が出ても、三度目の検査で陽性が出ることもある。池で釣りをするのに似ていて、釣れなかったからといって池に魚がいないわけではない、と語っています。つまり、1感染を確認するために複数の検査キットが必要ということであり、緊急に補給されなければ今日かあるいは数日中にそもそも感染可能性を検査することが出来ないということになります。 北京の中国疾病管理予防センター所長ウー・ズンヨウ氏は昨日の国営放送のインタビューに応え、ここ三日間の感染数の増加は武漢市が封鎖された直前に感染が確認されたにも関わらずすぐに集計がなされなかったものが追っかける形で算入されたためで、実際の統計ははるかに安定した数字を示している、とし、今後は今までのペースでは感染数が増えないということを示唆しています。 https://www.nature.com/articles/d41586-020-00236-9 https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-01-31/china-virus-cases-surging-3-000-may-be-undercounting-infections https://www.wantedinmilan.com/news/coronavirus-italy-declares-state-of-emergency.html https://twitter.com/galileocheng/status/1223200593608466432 https://twitter.com/ezracheungtoto/status/1223150641834422272
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ドイツの国際公共放送であるドイチェ・ヴェレの記者ウィリアム・ヤン氏が1/29にツイッターで、病死した死体が病院から直接火葬場に持ち込まれて死因を特定されないまま火葬されていると報告しました。
ヤン氏は中国のメディア、イニティウムニュースが複数の火葬場で働く職員にインタビューをして確認したとしています。 ヤン氏によると多くの病死死体が病院から直接複数の火葬場に持ち込まれており、新型コロナウイルスで死亡した可能性があっても政府が適切に死因などを確認しないまま火葬することで死亡数を大幅に過小報告しているということです。
また、The Lancetで1/30に発表された論文によると、武漢の病院で確認されている99感染例のうち、熱や咳の症状を発したものは全体の82~83%で、残りの17~18%は無症状か少なくとも熱や咳といった確認しやすい症状を持たないということです。従って感染者全体の約2割弱は診断を受けないまま感染を広げている可能性があります。 同日にThe Lancetで発表された新型コロナウイルスの遺伝子解析に関する別の論文では、コウモリの有するコロナウイルスとは遺伝子的に有意に異なっており、違うウイルスと言えると結論づけています。 香港の元インメディアHKレポーターであるガリレオ・チェン氏によると武漢の海鮮市場ではコウモリを売っていなかったとされています。同氏は新型コロナウイルスがコウモリ由来であった可能性は高いものの、まだ見つかっていない他の哺乳類が中間宿主だったはずで、またそれとは別に約20%の確率で発生する無症状に近い人間の感染者を通じて感染が広がっていると伝えています。 https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30211-7/fulltext https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30251-8/fulltext https://au.news.yahoo.com/china-cremates-bodies-in-secret-as-coronavirus-patients-spike-070222348.html?_guc_consent_skip=1580402962 https://twitter.com/galileocheng/status/1222573145137143808 世界的に有名な学術雑誌サイエンス誌は、1/26付けの記事で新型コロナウイルスの感染源は海鮮市場ではなかった可能性が高いと報じました。
日本ではTBSなども含めまだほとんどのメディアで海鮮市場で売られていた野生動物が感染源だった可能性が高いと報じられていますが、こうした状況に一石を投じた形になっています。 サイエンス誌のスタッフライターであるジョン・コーヘン氏によると、確認されている最初の感染者は12/1に発症したものの、この感染者は問題とされている海鮮市場に行っていませんでした。また、最初に入院した41人の感染者のうち、合わせて13人は海鮮市場と全く関係がないということで、ジョージタウン大学の疫学専門家であるダニエル・ルーセイ氏も41人中の13人は無視できる数字ではないと述べています。 最初に海鮮市場を感染源としたのは中国の健康当局とWHOですが、彼らが確認した最初の感染者の発症は12/8だったので正確を期した調査とは言えなかったようです。また、海鮮市場感染源説の根拠になっている彼らのレポートは、「ほとんど」の感染例が海鮮市場に関連がある、と述べるだけに留まるという説得力にかけるものであったことも明らかにされています。 ルーセイ氏は、もし新しいデータが正確であるならば潜伏期間などから逆算して最初の人間への感染は11月中には起こっていたはずで、そのあと静かに人間から人間へ感染しつつ、中国当局とWHOの見解とは逆に、感染者から海鮮市場にウイルスが持ち込まれた可能性が高いと語っています。 カリフォルニア州サンディエゴに本部を置くスクリプス研究所の進化生物学者クリスチャン・アンダーセン氏は1/25に新型コロナウイルスの遺伝子解析結果を発表し、最初の感染者の発症が12/8だったと想定するよりも12/1だったと想定するほうが論理的であるということ、そして分析した27つのサンプルに共通する祖先はおそらく10/1に誕生したと推定しています。 https://www.sciencemag.org/news/2020/01/wuhan-seafood-market-may-not-be-source-novel-virus-spreading-globally http://virological.org/t/clock-and-tmrca-based-on-27-genomes/347/4 武漢発の新型肺炎について、1/25になってから大量のニュースが出るようになりました。しかしニュースを書く側だったときの経験からも分かるんですが、批判や反響の大きさを意識して記者が最後まで書けない、ということもよくあります。押すなよ、絶対に押すなよ、というときのあれです。別の言い方をすると、ペンを貸してくださいという代わりにペンを持ってますか?と聞く時のあれです。そういうとき、書く側としては察してください、と心のなかで叫びながら書いているわけです。 そういう記者の心の叫びを汲み取りながら、ニュースが直接は言わないけど最後まで言い切るとどうなるのかというところをまとめたいと思います。 箝口令は朗報も封じるはず 今日付けのフィナンシャル・タイムズの記事で、武漢の医療関係者に箝口令が敷かれたということが報じられています。昨日の金曜日に、2名のソースがフィナンシャル・タイムズに伝えたとあります。箝口令の内容としてはウイルスの状況に関する最新情報。対象は家族、友人、そしてジャーナリストに対して、オンラインで、ということです。しかしポイントとしてはウイルスに関する最新情報が朗報である可能性もあり得るということです。つまり、大丈夫です、全てコントロール出来ています、というような内容です。つまり、医療関係者が大丈夫です、安全です、と言った場合、それもウイルスの状況に関する最新情報なので、箝口令の対象になるはずです。大丈夫です、管理できています、と医療関係者が伝えて、そのあと箝口令違反で罰せられなかったとしたら、それは真実ではないから、ということになるでしょう。真実だったら箝口令の対象になるはずだからです。 疑似感染は疑似ではない 本日、62歳の医療関係者がコロナウイルスによる感染で亡くなられたと報じられました。今回治療に携われてたわけではないそうです。報じたのは中国の報道機関ですが、ポイントは「疑似感染」として入院していた、ということです。最新の情報によると、発症してから約8日間で自力呼吸が困難になるはずです。しかしこの段階でも「疑似」としてのラベリングが変わることなく、亡くなって初めて感染と認められるということです。 このサイト<https://3g.dxy.cn/newh5/view/pneumonia?from=groupmessage&isappinstalled=0>では中国政府の公式情報を随時更新しています。一昨日くらいから体裁が若干変わり、感染数や死亡数がグラフで表現されるようになりました。これを見ると一目瞭然ですが、1/23から黄色の擬似感染数が大きく伸びて、赤い感染数の伸びが微妙に抑えられています。WHOなどに報告する数字を少しでも小さく見せるために感染数の一部を擬似感染の項目に振り分けているのではないかと思っていましたが、この医師が死亡してから疑似ではなかったと報じられたことで間違いなく確認されました。従って、感染数と擬似感染数の合計が実際の感染数に近いと思うべきでしょう。 道路を土で物理的に封鎖しているということは、物資の搬入も困難になるので現地では今後深刻な物資の不足が生じる 武漢市などから出る道路を封鎖するために土を盛っている写真が昨日からインターネット上で出回っています。日本の主要メディアはまだ報じていませんが、おそらく事実だと思います。問題なのは、土を盛って道路を封鎖すると入域することも困難になるということです。域内の病院では既にマスクや防護服を始めとする備品が不足しており、スーパーなども品薄になっていると伝えられています。かなりの広域なので食料品は足りるとしても、ガソリンなどの燃料や発電所の燃料も次第に底をつくはずです。アメリカが飛行機で自国民を迎えに行く内容が報道されていましたが、域内が今後深刻な物不足に陥るという確証を既に得ているのかも知れません。 消化器疾患も出る これは以前の記事にも書いた内容ですが、ようやく日本のメディアにも報道されました。初期に病院に行った感染者が熱と咳だけで点滴を受けていたと考えるのは不自然なので、下痢や嘔吐の症状も出ていたのではないかと思っていましたが、やはりそれらの症状もあるということが公式に認められました。また、これは今回のコロナウイルスがSARSに似通っているということも示しています。咳が出ないからといってコロナウイルスに感染していないと考えるのは危険です。 非感染者も海鮮市場に行っていたのだとしたら海鮮市場は感染源ではなく、真の一次感染はまだ封じられていない可能性がある 初期の段階から海鮮市場は感染源で、感染者の66%が海鮮市場に言っていたと報じられています。しかし海鮮市場に行くことが市民の日常生活であり、他にも多くの人が普段から海鮮市場に行っていたのだとしたらそれは感染源にはならないはずです。日本でいうと、感染者の60%がセブンイレブンに行っていたというのと同じようなものです。誰でもセブンイレブンに行きます。海鮮市場が感染源と断定するには、非感染者のうちで海鮮市場に行ったのは30%だけだった、というデータも合わせて比較しないといけません。しかし、実際にそういうデータを載せている報道は今の見つかりませんでした。代わりに見つかるのは、海鮮市場はいつも大勢の客で賑わっていた、という説明と、海鮮市場に行っていない人も感染したという事実だけです。 海鮮市場は閉鎖されたようですが、もし他に真の感染源があった場合、そこを封鎖しないと一次感染も続いていくことになります。 武漢肺炎や新型肺炎、コロナウイルスなどまだ呼び名も確立していませんが、それを待つことなくこの肺炎状の症状を起こす未確認の病気が猛威を奮っています。
当初の報道では人から人への感染力は弱いと言われていたにも関わらず、海鮮市場に関係ない人も感染していたこと。1/20頃から医療関係者の感染数で共同通信とブルームバーグの報道内容に違いがあったことなどから、個人的に目が離せないトピックになっていました。ちなみにこのとき、共同通信は医療感染者が14人、ブルームバーグは15人でそのうち1人は重体と報道していました。 中国政府の報道規制によって世界のメディアはバラバラなことを言っており、特に政治思想の強い媒体はかなり批判的なことを書いていますがむしろこれでいいと思います。おそらく、真実は真ん中らへんにあると思っていれば安全なのではないでしょうか。また、これは個人的にかなり興味を惹かれる部分でもあるのですが、この情報の混乱の背後にはウイルス自体が現在進行形で変異しているという事実もあります。今日付のロイターの報道ではウイルスが環境に適応して感染力を上げていると書かれており、この適応力がヒトヒト感染をあまり考慮に入れていなかった当局の油断のすきを突いたと言えると思います。当局はパニックを起こさないために感染力の弱さを強調して広報していたために予防などがおろそかになり、みんなの油断を招いたのだと思います。 また、日本語の記事でははっきりとは書かれていませんが現在武漢では人の出入りや観光旅行者の出発などは制限されていて、実質的に封鎖に近い状態になっているようです。 ということで現時点では確定的な情報が出回っておらず、またウイルス自体半日単位で変異しているような状態ですが、インターネットでかいつまんだ情報から少し信用できそうなものを整理したいと思います。日本のメディアは春節で患者が急激に増えることが予想されている、などと放り投げるようなことしか書いていないので、自衛をすることが重要です。 まず、病原体がコロナウイルスだとすると、ドイツのウイルス学専門家の説明では非常にSARSに似通っており、形態が違うだけということのようです。実際、患者が乾いた咳をするというのもSARSのときと似ています。SARSの事例は一つのマイルストーンなので、重要な事実はいくつか覚えておくべきだと思います。 1.致死率は約10% 2.生き残っても予後が非常に悪い(ステロイド抗炎症薬での治療がメインになるため、骨粗鬆症、骨壊死などの重篤な後遺症が残る。また、肺線維症も残りうる。治っても自力生活が困難に。) 3.病原体は環境下でも木や紙の上で3日間は感染力を保つ 4.10%程度の確率で水様性下痢の症状も起こり、下水を通してエアロゾル状になって感染を広げた可能性も指摘されている 5.一人で16人に感染させたことが確認された医師のケースでは(本人は死亡)、宿泊したホテルのフロアのエレベーター付近で強い感染源が残されたことが確認された 2についてですが、武漢でいち早く感染して退院された王さんという20代の方の報告がインターネットで出回っています。彼は去年のクリスマスイブに発症されて先週退院されたようですが、今でも食事をとると吐き気がして食べられないと語っています。 また、この王さんは当初ただの風邪だと思い普通の病院に行っていたと語っています。しかし、ここで抗生物質と点滴を受けています。普通、ただの熱や咳で病院に行って点滴をされることはないと思うので、この時点で上の4に挙げた下痢や嘔吐による脱水症状もあったのではないでしょうか。 さらに、王さんによるとメディアで感染源と表現されている海鮮市場には足を運んでおらず、そこから数百メートル離れた駅で働いていたとのことです。なので、少なくとも去年の12月の段階でヒトヒト感染は始まっていたのではないでしょうか。さらに、症状が顕在化していなくても潜伏期間にある人から唾液の飛沫などで感染しうるということも表しています。 この王さんの説明と、現地からツイートされている日本人医師達のツイートを総合すると病態は以下のようになりそうです。 1.潜伏期間は約9日間(長い) 2.初期症状は強烈な倦怠感、無気力感で熱はそれほど出ない(熱モニターはあまり信用できない。めまい、頭痛、四肢の痛み) 3.初期症状が出てから約5日間で肺炎の症状(乾いた咳。レントゲンでは両肺に影が映る) 4.初期症状から約1週間で緊急入院が必要なレベルにまで悪化。自力呼吸が出来なくなる。 また、なぜか血液検査をすると有意に低い白血球の値が出るということも医学レポートに書かれています。 現在、隔離措置などを受けているのは主に感染者と”濃厚接触”をした人たちのようです。濃厚接触というのは、マスクなどを着用しない状態で、1~1.5mの距離で、約30分間会話をした状態を指すようです。 死亡した患者は感染以前に別の病気にかかっていたことが分かっており、もしかしたらこのコロナウイルスは免疫系に影響するのかも知れません。 中国政府が公表している情報では感染者の多くが30代〜ということになっていますが、学校が一番集団感染しそうな場所なので未成年者や子どもの感染実態も気になるところです。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/817470.php https://www.epochtimes.jp/p/2020/01/50789.html https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E7%97%87%E6%80%A5%E6%80%A7%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4#%E4%BA%88%E5%BE%8C https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200122-00059069-jbpressz-cn https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200122-00000004-binsiderl-int&p=1 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200122-00010003-huffpost-int https://www.ijidonline.com/article/S1201-9712(20)30011-4/pdf https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200122-00000145-jij-cn https://this.kiji.is/592700970079863905 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020012201186&g=int https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59069?page=3 https://www.asahi.com/articles/ASN1J5RT5N1JUBQU005.html?iref=pc_rellink_02 https://twitter.com/mdfujita/status/1219427495214186497 https://3g.dxy.cn/newh5/view/pneumonia?from=groupmessage&isappinstalled=0 https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-01-22/china-launches-nationwide-screening-as-virus-death-count-rises 本日先程アメリカと中国の貿易交渉が第1段階の合意に達しました。アメリカのS&P500は記録的な高騰を見せているので、ゴールドの価格は下がるかと思いきやむしろ微妙に上昇しています。
アメリカとイランの緊張が解消した直後はさすがに低下しましたが、でもそれほど低下することなくその後も過去7年間の最高値水準に留まっています。 FEDが利下げをしてもゴールドの価格は上昇し、貿易摩擦が一時落ち着いても上昇し、株価が上昇してもゴールド買いは止まりません。何をやってもゴールドが買われている状態です。 一体世界は何の理由でゴールドを買い漁っているのでしょうか。 現在のところ、考えられる大きな理由はインフレ予想です。各国中央政府が相次いでマネーを市場に注入しているため、マネーの価値が近いうちに下がる、つまりインフレが起こることを投資家が予測してゴールドに避難しているのかも知れない、ということです。 しかし世界的な国債の年利回りを見ると、日本の10年国債だけ去年の下旬から不気味に上昇していますが米国債もドイツ国債もイギリス国債もそれほど上昇していません。国債の利回りはインフレの気配がすると上昇する可能性があるため、現在のところインフレの予兆はないように見えます。 ところが、本日付のフィナンシャル・タイムズが報じたところによると、世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターの投資オフィサーであるグレッグジェンセン氏は米ドルの信認が低下し、外国政府がゴールドに頼らざるを得なくなるようになる可能性が視野に入ってきたと考えているようです。 グレッグ氏は ”急激に起こるかも知れないし、もっと時間がかかるかも知れない。しかし、明らかに(ドル信認低下の可能性は)起こりうる範囲に入りました。地政学的な争いを目にして、一体どれだけの国外(米国以外ということ)機関が米ドルを保有したいと思いますか?代わりになにか別のものを保有するとしたらなんでしょうか?ゴールドですよ。” と述べています。理由として、世界的に中央銀行がインフレを助長する方向で足並みを揃えていること。米国の累積赤字と貿易赤字が際限なく膨張していることをあげています。 ブリッジウォーター社は世界で18兆円の資産を運用していると言われています。グレッグ氏はフィナンシャル・タイムズに、主要各国の中央銀行はもはや利率を通常レベルに戻すことは出来ず、アメリカを含めてインフレを危険なレベルまで許す可能性があること。それによってゴールドの価格は今から更に30%上昇し、オンスあたり2000ドルを上回るようになると語り、投資家のポートフォリオで重要な役割を果たすようになると述べています。 https://www.bloomberg.com/quote/DXY:CUR https://www.cnbc.com/2020/01/15/trump-and-china-sign-phase-one-trade-agreement.html https://www.ft.com/content/1c90b8d6-36f6-11ea-a6d3-9a26f8c3cba4 https://www.bullionvault.com/gold-news/gold-price-011520201 年初の2つの記事
2019年はどういう年だったか (https://angama.weebly.com/home/2019) なぜ日本のメディアは米ドル安とゴールド高を報じないのでしょうか。 (https://angama.weebly.com/home/6100494) でゴールドの値段が異常に上がっていることを書いたのでアンガマ氏はゴールドを推してるのかと思われる人も多かったと思います。しかし実際には最も安定して上がってると思ってるのはパラジウムです。 パラジウムという貴金属は主に自動車の排気ガス浄化システムの触媒として使われています。 インターネット上で少なくとも価格を確認できる1987年からほぼ一貫して上昇傾向にあり、特に過去4年間のデータを見ると、2016年の年初にオンスあたり約500ドルだったものが、2017年には約750ドル。2018年には約1000ドル、2019年には約1300ドル、そして今年に入ってから楽々と2000ドルを突破しました。これは歴史上最高値であるだけではなく、過去にゴールドが記録したあらゆる高値を優に超えています。 これだけ上がっている背景には、需要面では自動車の排気ガス規制がどんどん厳しくなっていて必要となる量が急激に上昇していること。供給面では産出量がゴールドの1/10以下に過ぎず、慢性的な供給不足になっていることがあります。 僕は2018年の夏からパラジウムの値段を追っていました。その年の年末まで急激な価格上昇を見ましたが、正直そこで止まると思っていました。しかし2019年に入ってからさらに上昇が加速し、年を明けてもまだ上昇が続いています。 いくらなんでも、と思いますが中国の大気汚染の悪化が進むにつれ環境規制が厳しくなり、中国市場でのパラジウム需要が急激に伸びています。 また、ヨーロッパなどでは同じ理由でディーゼル車が減産に追い込まれていますが、ディーゼル車の排気ガス浄化システムに使われるプラチナの副産物としてパラジウムが生産されるため、プラチナの減産が皮肉にもパラジウムの供給減速に拍車をかけています。 自動車の排気ガス浄化システムにプラチナを使用する技術は現在では商用としては確立されていません。パラジウム不足を解消する唯一の方法は電気自動車の普及だけですが、専門家の意見では普及までまだ年数がかかるということでパラジウム価格の高騰はまだまだ続きそうです。 ゴールド高や米ドル安に加えてパラジウムも例外ではなく、日本の主要メディアからはほとんど相手にされていません。日本のメディアは原油価格を話題にすることが多いものの、そもそも原油価格は少なくとも過去5年間を通してほぼバレルあたり55ドルで停滞しています。先週アメリカとイランの緊張が高まった際は一瞬上がりましたが、また急落して既に元の水準に戻っています。もはや産業にとってそれほど重要ではなく、これからますます重要ではなくなってくるものの値段しか報道しないメディアを追っていると、現実世界で起こっていることの認識が国民の間でますます歪んでくるのではないでしょうか。 https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-28/why-palladium-is-suddenly-a-more-precious-metal-quicktake-k2ap4ryc https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-12-12/palladium-is-now-more-expensive-than-gold-has-ever-been https://www.macrotrends.net/2542/palladium-prices-historical-chart-data https://www.bloomberg.com/quote/CL1:COM 僕も日本にいたときはソフトバンクの携帯を使っており、そのまま日本から出て来てしまったので解約するときは結構苦労しました。 このソフトバンクが世界中で行っている投資事業ですが、これもなぜか日本語で検索すると日本のメディアによる記事があまり出てきません。 出てくるのは日本語化されたウォール・ストリート・ジャーナルかブルームバーグ、あるいはITに特化した媒体の記事がほとんどです。 ソフトバンクの有利子負債は現在15兆円にのぼると言われており、日本一国の一年の税収の約1/4にあたります。サウジアラビアのファンドなどからも資金を借り入れており、年間7%の配当を支払う義務を負っています。 このソフトバンクでも、去年11月には「真っ赤っか」な決算内容でわずかに日本メディアに報じられました。 真っ赤っかというのは大げさではなく、それ以前から正気では考えられないような投資を行ってきていました。 日本以外では例えばブルームバーグなどからは「ブランド戦略が何も見えない意味不明な巨大投資機関」「福袋のような銘柄選択」などと揶揄されており、アジアからの脅威というよりも困惑と嘲笑の対象になっています。 日本人はよく、世界から笑われている・世界が感嘆している、というように自分が世界から二者択一的な評価を得ていると思うことが好きですが、 ソフトバンクはまさに、世界から笑われているケースの典型です。 世界的にもはや、ソフトバンクの名前が入った記事はほぼ自動的に苦笑カテゴリーになっています。これは意地悪などではなく、本当に理解不能な投資を繰り返してきた結果なので、そのうちのいくつかを列記していきたいと思います。 1.犬の散歩代行アプリ、ワグ ソフトバンクの理解不能案件の代名詞にもなりつつあるこの投資は、去年の年末にソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資を引き上げることで幕を下ろしました。 幕を下ろすまでにソフトバンクが投資した額はおよそ330億円。持株比率は50%弱でした。 犬の散歩を誰かに頼みたい飼い主と、散歩をやりますという人をマッチングさせるだけのアメリカのサービスですが、ソフトバンクは一昨年の初めになぜかこの会社の企業価値を約700億円と評価していました。 2. インドのホテルチェーン、オヨ 1番目の犬の散歩代行アプリの前には、インドのホテルチェーンにも投資していました。この時点で組み合わせのわけが分からなすぎてちょっと気持ち悪くなります。 価格決定システムなどを徹底的に合理化したことで急成長したオヨ・ホテルズアンドホームズですが、今年に入ってから既に中国とインドで1,800人をリストラしました。ソフトバンクはこの会社に一昨年の時点で約1120億円を出資しています。 3. ロボットアームで作るピザ屋、ズーム 本当に何がしたいのか分かりません。ソフトバンクはロボットでピザを作るズームというアメリカの会社にも、約410億円投資していました。今年に入ってから従業員の約半分を整理し、また祖業であったピザ事業を閉鎖することが報じられています。一昨年の段階でソフトバンクはなぜかこの会社の企業価値を約2500億円と評価。最終的に約850億円を出資する予定だったようです。 ソフトバンクは現在2号ファンドの設立を計画しており、2号ファンドではロボットでハンバーガーを作るクリエーターという会社にも出資する予定であるとされています。 4. テナント又貸し業者、ウィーワーク 去年の「真っ赤っか」な決算の主要因を作った会社です。テナント用の物件をおしゃれに改装してコワーキングスペースとして又貸しするだけの会社です。ソフトバンクはここに合計1兆円以上をつぎ込んでいますが、価値は既に半分以下になっていると報道されています。ソフトバンクは当初この企業の価値をなぜか約5兆円と評価。創業者の麻薬問題や隠し損失などのスキャンダルで現在は約1兆円の企業価値とされています。 クライアント企業が自社で本社設備を用意しなくても手軽に賃貸出来るようになる優れたビジネスモデルとソフトバンクは評価していましたが、ソフトバンク自身と同じようにコアになる技術や特許があるわけではないので誰でも真似出来ますし、特に目新しいわけでもありません。 創業者は投資家に対してIT企業であると吹聴していたという情報があります。実態は不動産業なのに、ソフトバンク・ビジョン・ファンドはもしかしたらこれを本当に信じていたのではないかという懸念が拭えません。この会社が現在黒字を出しているのは日本を含めて2市場だけです。孫正義は数年以内の黒字化は簡単と説明していますが、どの会社でも出来るビジネスなので新規参入が全くなかった場合の想定に過ぎません。1兆円に及ぶ天文学的な失敗の結果、2号ファンド設立の先行きは危うくなってきていると報じられています。 孫正義は投資家に対して、世界のAI事業を独占する戦略を披露しています。この方向性自体は正しいように思えますが、実際に投資している先がAIとどう関係するのかよく分かりませんし、特に4番目のウィーワークなどは投資以前の基本的な企業分析を誤ったかそもそもしていなかったのではないかと思わざるを得ません。 ソフトバンクグループで実際に現金を稼いでいるのは今年に入ってからは携帯電話子会社のソフトバンクだけと言われており、ここからの収入もほとんどが利払い費に消えるという試算もあります。大量の資産を担保に天文学的な債務を抱え、福袋のような脈絡のない企業群の株式を多く持ちすぎているために売却しようとすると需給バランスが崩壊してしまうという状態はまさに現在の日本の財政状態の縮図と言えると思います。 日本のメディアはここに報道のメスを入れて、ありのままを日本の視聴者に伝えるべきではないでしょうか。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-09/Q29PS76K50XS01 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-10/Q3W3FD6JIJUR01 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200109-23863870-bloom_st-bus_all https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-26/PZYY9S6S972801 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-25/Q1H2YODWX2PV01 https://jp.wsj.com/articles/SB12708392186520463701404585595510380874530 https://jp.reuters.com/article/wework-softbank-breakingviews-idJPKBN1X205O https://jp.reuters.com/article/sofbank-breakingviews-idJPKBN1XG0EM https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/06/news131.html 今日現地時間15時に日産の元CEOであるカルロス・ゴーンの記者会見が行われました。
ゴーンの容疑そのものに関しては分かりませんが、会見自体がほぼ英語で行われることを考えると、おそらく日本のメディアは視聴者がほとんど誰も裏をとらないであろうことを見越して大幅に意訳した要約を書くと思ったため、休憩時間まで含めて全て視聴しました。 案の定、会見直後に産経ニュースは、日本人記者が選別を受けていて、大半が出席出来なかったと書いていましたがテレ東と小学館が会見後の質問タイムで質問していたのでこの2社に対して失礼ですし、日本のメディアが規制されているのかという小学館の質問に対して選別はしていないとゴーン本人が回答していたので既に歪みが生じています。BBCやロイター、CNNやブルームバーグなどのメジャーメディアが参加していますし、会見後には入れなかったプレスに会うとも言っていたのでゴーン側の偏向ではないと思います。 会見自体は西川前社長、川口前副社長、今津前監査役、豊田社外取締役が日本の当局と繋がって自分を陥れたという主張を継続し、また逮捕後は薬の処方ももらえずに、自白するまで家族とは会えないなどと検察に脅されたという暴露で前半部分が終わりました。これを裏付ける資料が、西川前社長のサインなどとともに背景のスクリーンに大写しになっていたことが今回の会見のポイントの一つだったのではないかと思います。これらの証拠は会見後に記者に配布され、今後さらに集まってくるとゴーンは説明しました。ゴーンが家を秘密に購入したと報道されていることについて、家の購入を確認する書類に西川前社長のサインがあった点などが前半部分の盛り上がりの一部だったと思います。 自分を貶める陰謀に関係した政府関係者を名指しで挙げるということはレバノン政府と日本政府の間にさらなる緊張を生むということでやらなかったようですが、陰謀には政府のどれくらい上の層まで関与していたのか、というBBCの質問に対して「トップは関与していなかったと個人的には思う」と述べていました。これは明らかに安倍首相のことを指しており、やはり今回の脱出劇の背景には安倍首相に対してマクロンからの依頼があったのではないかと仄めかす内容だったと思います。 会見当日の午前にブルームバーグが報じた記事によると、ゴーンは日本を出た去年12/29に、14:30~16:30まで六本木のグランドハイアットで打ち合わせをしており、そのわずか一時間後の17:30に安倍首相がチェックインしたことが分かっています。このスケジューリングであればハイアットの中や周辺で間接的にでも連絡を取り合うことは十分可能ですし、なぜわざわざ同じホテルを使ったのかという点でも不自然さが残ります。 今回の会見で最も重要だったのは陰謀論に時間をさくよりもむしろ自動車業界のビジネスの話に大きく重点を置いた点です。特に去年秋に実現したフィアットとプジョーの合併に対して極めて悔しそうな反応を見せていました。 会見の後半でイタリア系プレスから、逮捕前にフィアットと合併交渉を進めていたのかとの質問に対して、フィアットのオーナーファミリーと交渉を進めており、合意は遠くない段階にあった。逮捕されている間に遠のいてしまったと回答しました。また、プジョーとも同様に交渉をしていたと最後に付け加えました。 フィアットとプジョーの合併に関しては、ルノー日産アライアンスが業界で支配的な地位を取れるチャンスをみすみす逃したと表現しています。 最終的に勝ったのはプジョー、大きなチャンスを逃したのはルノーともコメントしていることから、逮捕劇の背景にはフランス政府内でのルノーとプジョーのロビー活動があり、あまり関係ないのに飛び火してしまった日本からマクロンがゴーンを”回収”し、レバノンに安置したという見方が出来るのではないでしょうか。 記者からの質問に対し、2012年にゴーンはフランスのFiscal Residenceを放棄したと回答しています。フランスの会社で働いているのにどうしてフランスのFiscal Residenceを放棄出来るのかと厳しく追及される一幕もありました。フランスに素直に戻れないのにはこういった背景もあるのかも知れません。 会見は約2時間半に及ぶ大変長いものでしたが、終了後ルノーの株価に大きな変化は見られていません。 https://www.sankei.com/world/news/200108/wor2001080058-n1.html https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-01-08/ghosn-nearly-crossed-paths-with-japan-prime-minister-as-he-fled https://www.reuters.com/article/us-nissan-ghosn-fiat-chrysler/renault-nissan-should-have-merged-with-fiat-chrysler-ghosn-idUSKBN1Z727F https://www.theguardian.com/business/live/2020/jan/08/gold-oil-as-us-iran-markets-carlos-ghosn-nissan-escape-business-live?page=with:block-5e15d8d68f085eda5c114418#block-5e15d8d68f085eda5c114418 (この記事はアメリカのスレイマニ司令官殺害以前に書かれたものです)
日本のメディアには、米ドルが下がっていることを報じてはいけない自主規制でもあるのでしょうか。 昨年末の12/30、日経新聞関係者ツイートで以下のように書かれました。 ”株・債券・金の同時高。緩和マネーが潤沢とはいえ、すべてが上がる現象が持続的とは思えず、2020年には、どれが正しく、どれが間違っていたのかの答えが出る?” https://mobile.twitter.com/isayashimizu/status/1211543728625573890 日経新聞の記事では一行目からこうなってます。 ”2019年は世界的な利下げを追い風にあらゆる資産の価格が上昇した。” https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53992110Q9A231C1000000/ 何を言ってるのかよくわかりません。 たとえばロイターではほぼ同日の同じ相場を話題にした記事で、タイトルから”Global stocks end 2019 near record highs, dollar slides”としていて米ドルの下落を強調しています。 記事の第1文目は”NEW YORK (Reuters) - The dollar slid to a six-month low on Tuesday”で始まります。slidとはずり下がるというようなニュアンスです。 ロイターだけではなく、ブルームバーグもテレビで株高に合わせて米ドル安を強調していました。世界的には誰もすべてが上がってるとは思ってないですし、株高と米ドル安を比較している世界の報道に対して 日本の報道だけずれています。そもそも、日経新聞以外のメジャーな国内メディアは株高すらあまり報じていませんでした。 前の記事にも書きましたが、米ドルは通常安全資産と目されています。それに対して株などはリスク資産なので米ドルと株価は反対の方向に動きます。 しかし、同じく安全資産と目されているゴールドも米ドルと同じように安くなっているのかと思いきや株価と一緒に高くなっています。 これについて、上に挙げたロイターの記事では米中貿易戦争に前進が見られるため、投資家が前向きになったことによる、としています。 しかし、それだとゴールドも値上がりしている理由が説明出来ません。 去年、アメリカの中央銀行にあたるFRBが9月と10月に利下げを発表しました。中央銀行の利下げは債券の値段を上げ、その分投資家に株式を買わせようとする試みでもあります。 なので投資家たちは持ってるお金をより儲かりやすいリスク資産に回し、ゴールドを売るのかと思いきや2回ともゴールドの値段を上げました。 2回とも、FRBの発表数日前からジリジリと値段を下げ続け、利下げが確定してから一気にゴールドを爆買している感じです。 日本でも、不景気になると中央銀行に何とかしろという圧力が高まります。しかし実際に中央銀行に出来ることは利下げか利上げだけです。この2つのボタンしかないんです。 今回の利下げの背景には、なぜか株式相場が自分の評価だと思いこんでいるトランプが2020年の選挙で再選を有利にするためにFRBに圧力をかけ続けたという見方があります。 トランプは自分のおかげでアメリカ経済が好調になっていると吹聴している割に、不景気対策ボタンである利下げを強要しているわけで言行不一致ですが、 FRBのパウエル議長も、アメリカ経済は好調だが、世界的なリスクが高まっているために利下げする、とトランプと同じようなよくわからない説明をしました。 この「世界的なリスクの高まり」を米中の地政学的リスクと読んだ投資家がゴールド購入に走ったという見方があります。 また、利下げの結果債券が割高になったので、ゴールドと遜色がなくなってしまいゴールドを買った、と分析する解説員もブルームバーグにいました。 どちらにしろ、ゴールドが買われています。 ゴールドだけではなく、大規模な合併をしたゴールドの採掘会社の株も買われています。 米国コロラド州グリーンウッドビレッジに本拠を置くニューモントゴールドコープコーポレーションは去年一年間で株価が25.37%も上昇し、 カナダのトロントに本社を置く、世界で2番目に大きい金鉱会社であるバリック・ゴールドに至っては去年一年間で株価が37.37%も上昇しました。 トランプもFRBもアメリカ経済は好調と言っている割に景気を底上げするような利下げを行っています。実際に統計的にはアメリカ経済は信じられないほど安定しているのに、 なぜ安全資産のゴールドの値段がひたすら上がっているのか、世界的にどのメディアもまだ統一の見解を出せていないようです。 https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-30/fed-cuts-rates-by-quarter-point-while-hinting-at-a-policy-pause https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-18/PY1GUXDWX2PX01 https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-09-18/fed-makes-second-straight-rate-cut-splits-on-further-action https://www.reuters.com/article/us-global-markets/global-stocks-end-2019-near-record-highs-dollar-slides-idUSKBN1YZ035 |
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