年初の2つの記事
2019年はどういう年だったか (https://angama.weebly.com/home/2019) なぜ日本のメディアは米ドル安とゴールド高を報じないのでしょうか。 (https://angama.weebly.com/home/6100494) でゴールドの値段が異常に上がっていることを書いたのでアンガマ氏はゴールドを推してるのかと思われる人も多かったと思います。しかし実際には最も安定して上がってると思ってるのはパラジウムです。 パラジウムという貴金属は主に自動車の排気ガス浄化システムの触媒として使われています。 インターネット上で少なくとも価格を確認できる1987年からほぼ一貫して上昇傾向にあり、特に過去4年間のデータを見ると、2016年の年初にオンスあたり約500ドルだったものが、2017年には約750ドル。2018年には約1000ドル、2019年には約1300ドル、そして今年に入ってから楽々と2000ドルを突破しました。これは歴史上最高値であるだけではなく、過去にゴールドが記録したあらゆる高値を優に超えています。 これだけ上がっている背景には、需要面では自動車の排気ガス規制がどんどん厳しくなっていて必要となる量が急激に上昇していること。供給面では産出量がゴールドの1/10以下に過ぎず、慢性的な供給不足になっていることがあります。 僕は2018年の夏からパラジウムの値段を追っていました。その年の年末まで急激な価格上昇を見ましたが、正直そこで止まると思っていました。しかし2019年に入ってからさらに上昇が加速し、年を明けてもまだ上昇が続いています。 いくらなんでも、と思いますが中国の大気汚染の悪化が進むにつれ環境規制が厳しくなり、中国市場でのパラジウム需要が急激に伸びています。 また、ヨーロッパなどでは同じ理由でディーゼル車が減産に追い込まれていますが、ディーゼル車の排気ガス浄化システムに使われるプラチナの副産物としてパラジウムが生産されるため、プラチナの減産が皮肉にもパラジウムの供給減速に拍車をかけています。 自動車の排気ガス浄化システムにプラチナを使用する技術は現在では商用としては確立されていません。パラジウム不足を解消する唯一の方法は電気自動車の普及だけですが、専門家の意見では普及までまだ年数がかかるということでパラジウム価格の高騰はまだまだ続きそうです。 ゴールド高や米ドル安に加えてパラジウムも例外ではなく、日本の主要メディアからはほとんど相手にされていません。日本のメディアは原油価格を話題にすることが多いものの、そもそも原油価格は少なくとも過去5年間を通してほぼバレルあたり55ドルで停滞しています。先週アメリカとイランの緊張が高まった際は一瞬上がりましたが、また急落して既に元の水準に戻っています。もはや産業にとってそれほど重要ではなく、これからますます重要ではなくなってくるものの値段しか報道しないメディアを追っていると、現実世界で起こっていることの認識が国民の間でますます歪んでくるのではないでしょうか。 https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-28/why-palladium-is-suddenly-a-more-precious-metal-quicktake-k2ap4ryc https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-12-12/palladium-is-now-more-expensive-than-gold-has-ever-been https://www.macrotrends.net/2542/palladium-prices-historical-chart-data https://www.bloomberg.com/quote/CL1:COM
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